気象と体調変化に関する研究 第2報-気象観測データと身体的・精神的症状との関連
Author | Affiliation |
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Kato, Sakiho | |
Date |
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2022-12-03 |
no. [P26-8]
Poster Sessions
- Other
Autorės pateiktas pavadinimo vertimas į anglų k.: Research on meteorological phenomena and physical condition changes: Relationship between meteorological observation data and physical and psychological symptoms
- 名古屋セントラル病院 - Nagoya Central Hospital 2. 名古屋大学大学院医学系研究科 - Nagoya University Graduate School of Medicine
【研究目的】気象病の代表的な症状として頭痛や関節痛が挙げられることが多い。しかしそれ以外の症状との関 連についての研究報告は少ない。本研究では健常な集団を対象とし、頭痛や関節痛などの特定の症状だけではな く、日常生活に密接な症状も含めたあらゆる身体的・精神的症状と気象要素との関連を評価することを目的とし た。 【研究方法】対象者は愛知県在住の20代以上の男女とした。調査期間は2021年の6月から8月とし、参加者一人当 たり最大14日間、体調に関する質問に答えてもらった。対象者の募集は直接の声かけやチ シの配布、ポス ター掲示などで行った。公式 LINEアカウントを設置し、その LINEアカウントを用いて、調査期間中、毎日質問 表を送信した。対象者は質問表に沿って、その日の午前と午後の体調についての回答を行った。質問は、頭 痛、腹痛、腰痛など23の症状の中から体調不良の項目について複数選択できる形式とした。項目それぞれを1 (当てはまる)、0(当てはまらない)とした。気象観測データは、1日2回気圧、気温、湿度について気象庁の データを取得した。分析は SPSSを用いてスピアマンの順位相関係数を算出した。相関をみるにあたって、生理痛 においては男性を除いた女性のみの参加人数を用いた。本研究は、名古屋大学生命倫理審査委員会の承認を得て行った。(承認番号21-105) 【結果】今回の研究には、353人の参加が得られた。質問表への回答は、延べ4,001件あった。調査開始時は梅雨 で雨が続いていたため湿度が高かったが、7月18日の梅雨明け前頃から湿度は低下した。7月末と8月中旬には台風 が接近・通過し、それに伴い湿った空気が入り込み雨が続いたため、気圧と気温は低下し、湿度は上昇した。8月 下旬には高気圧に覆われ晴れが続いたため、気圧と気温は上昇し、湿度は低下した。気圧との相関において<良 好・腰痛・眠気・気分の落ち込み・過食>の5項目で相関はなかったが、統計的に有意な関連があった。気温との相関 において<良好・腰痛・身体がだるい・眠気・食欲不振・やる気が出ない・その他>の7項目で相関はなかったが、統計 的に有意な関連があった。湿度との相関において<良好・関節痛・腰痛・耳鳴り・身体がだるい・目の疲れ・肩こり・め まい・眠気・皮膚のトラブル・やる気が出ない・その他>の12項目で相関はなかったが、統計的に有意な関連が あった。【考察】腰痛、眠気など24の項目について、相関係数の絶対値の大きさから相関は見られなかったが、統計的に 有意であった項目において気象条件の影響を受けやすい項目があることが明らかになった。先行研究では議論さ れていなかった肩こりや眠気などといった日常生活に密接な症状も含めたあらゆる身体的・精神的症状と気象要 素との関連性が示唆される。